創立100周年を迎えて

 県内企業の皆様には,かねてより工業技術センターの業務運営にご協力頂き,厚くお礼申し上げます。


 当センターは,昨年度,前身である工業試験場が大正12年(1923年)に創立されてから100周年の記念の年を迎えました。

 昨年11月14日に記念式典を開催するとともに,記念冊子「100年のあゆみ」を編さんし,100年に渡る時代の移り変わりや,それに応じた試験場の変遷,焼酎等の発酵食品,大島紬や薩摩焼,川辺仏壇等の工芸品の品質向上や新商品開発,シラスや木竹材等の地域資源の高度利用,工場排水等の管理技術や溶接・切削等の金属加工技術の高度化,電子制御技術の高度化など,様々な分野毎の技術支援や研究開発の歴史や成果を取りまとめることができました。

 これらの成果や今日の工業技術センターがあるのは,遙か昔の先人の皆様からの弛みないご支援,ご活躍の賜物と深く感謝しております。

 その他,昨年度は,県の伝統的工芸品製造事業者と異業種の民間企業の協働による新商品開発を支援し商品化された,薩摩焼割付文様の透かしを施した和紙を用いた壁掛け時計が,「かごしまの新特産品コンクール2023」特産品協会理事長賞を受賞。芋焼酎では難しかったリンゴ様(よう)の香りのする単式蒸留焼酎の新商品開発支援。その他,機械,電子,木材関連分野などでも,様々な新商品開発や歩留まり向上,工程改善などの成果もありました。また,令和6年3月21日のJIS改正により,県工業技術センターが製造技術を確立した火山ガラス微粉末(VGP)が,生コンクリートの混和材に追加されました。

 当センターの技術シーズ(研究成果,設備,特許等)の情報発信を加速させるための試みとして,当
センターが開発・商品化を支援させていただいた事例の報告会を,商品化された企業の方とともに,県庁18階かごゆいテラスでの「取組事例報告会」として開始し,今年度は計4回開催しました。

 企業との共同・受託研究を30件,特許出願6件,特許実施許諾契約も2件締結するなど,研究開発
成果の技術移転や新商品開発支援等も進めることができました。

 令和6年度は,当センター利用企業の裾野を広げるための企業訪問や,企業・業界ニーズ調査,取組事例報告会等をより積極的に行い,共同・受託研究による課題解決や商品化支援,国のGo-Tech事業等の大型プロジェクトを活用した機能性食品や新素材の実用化を目指すとともに,企業ニーズの高かった成分析評価装置を導入し,競争力の高い焼酎や商品化支援などにも活用する予定です。

 研究開発に関しては,シラス由来の火山ガラス微粉末を用いた低炭素型コンクリー卜の普及に向けた取組を始め,鹿児島ならではの地域資源等を活用した新産業分野への参入支援や,IoT,AI等のデジタル技術を活用したものづくりの基盤強化等に取り組んでまいりたいと考えております。

 令和6年度は新たな100年に向けた最初と年となります。当センターは今後も引き続き,大学等の研究機関や産業支援機関,各種業界団体等とも緊密に連携しながら,企業のニーズや時代の要請を的確に捉え, 「技術の拠りどころ」として,企業の『稼ぐ力』の向上に貢献できるよう,今後とも職員一同で取り組みますので,これからもより一層の御利用をお願いします。

令和6年4月 

鹿児島県工業技術センター所長 尾前 宏

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